副業の確定申告をしないとどうなる？しなくていい金額と7つの注意点

副業で思ったより収入が増えてきて、「これって確定申告しないとどうなるんだろう…」とモヤモヤしていませんか？

この記事では、副業の確定申告をしないとどうなるのかと、副業で確定申告しなくていい金額の考え方を、できるだけかみ砕いてお伝えします。

結論を先に言うと、「何となく大丈夫だろう」と放置するより、早めにルールを知っておいた方が、税金的にもメンタル的にもかなりラクになります。

副業で確定申告しないとどうなるかをまず整理しよう

副業の確定申告が必要かどうかの基本ルール

副業の確定申告をしないとどうなるかを考える前に、「自分は本当に申告が必要なタイプなのか？」を確認しておくことが大事です。

会社員のよくある副業パターンごとに、イメージをまとめるとこんな感じです。

副業のパターン	副業の収入の例	確定申告（所得税）の目安	住民税の申告
会社員＋フリマで不要品をときどき売るだけ	クローゼットの不要品、家電など	生活で使っていた物を売るだけなら、原則課税されないことが多い	申告が不要になるケースが多い
会社員＋アルバイトやパート	コンビニ、飲食店、コールセンターなど	本業以外の給与が一定額を超えると確定申告が必要になることがある	ほとんどの場合、住民税には反映される
会社員＋業務委託の副業	Webライター、デザイナー、動画編集など	副業の「所得」が一定額を超えると確定申告が必要	住民税の申告が必要になるケースが多い
会社員＋本格的な個人事業	せどり、物販、講師業など	原則として毎年確定申告が必要	住民税の申告も基本的に必要

ここでポイントになるのは、「収入」そのものではなく、「所得」で判断する場面が多いことです。

所得とは、ざっくりいうと「売上（収入）から必要な経費を引いた残り」です。

たとえば、Webライターとして報酬が30万円あって、パソコンや通信費など経費が10万円かかっていれば、所得は20万円というイメージになります。

「収入」と「所得」の違いをざっくり理解しておく

副業で確定申告しなくていい金額を考えるとき、この「収入」と「所得」の区別があいまいだと判断を間違えやすいです。

簡単に整理すると次のようになります。

たとえば、ハンドメイド作品をネットで40万円売ったとしても、材料費や送料などで25万円かかっていれば、所得は15万円です。

このように、収入だけを見て「40万円だから絶対確定申告が必要」と決めつけるのは早計で、「経費を引いたあとどうなるか」が大事になってきます。

副業の種類ごとに税金の扱いが違う

同じ副業でも、税金の世界では大きく三つのパターンに分かれます。

• 会社に雇われて働くアルバイトやパートなどの「給与所得」
• 継続的に仕事を請け負う業務委託やフリーランスなどの「事業所得」や「雑所得」
• 自宅の不要品を売るだけのフリマやメルカリのような一時的な収入

たとえば同じ10万円の副業収入でも、アルバイトで得た10万円と、業務委託のWebライター報酬10万円では、扱いが変わることがあります。

このあと詳しく解説していきますが、「自分の副業はどのパターンに当てはまりそうか？」を頭の片すみに置きながら読んでもらえると、スッと入ってきやすいと思います。

副業はいくらまでなら確定申告しなくていい金額なのか

よく聞く「20万円ルール」の本当の意味

副業の話で必ずといっていいほど出てくるのが、「会社員の副業の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要になることがある」という、いわゆる20万円ルールです。

ただ、このルールには条件や例外が多く、「20万円以下なら絶対何もしなくていい」と考えてしまうのは危険です。

ざっくりイメージをまとめると、次のようになります。

状況	20万円ルールが使える可能性	ポイント
給与が1か所＋副業の所得20万円以下	条件を満たせば使えることがある	住民税の申告が必要なケースもある
給与が2か所以上ある（本業＋アルバイトなど）	20万円ルールの対象外になることが多い	副業の給与が一定額を超えると確定申告が必要になることがある
医療費控除や住宅ローン控除などで確定申告をする	副業の所得が20万円以下でも申告が必要になることがある	その年に確定申告をするなら、副業分もまとめて申告するイメージ
個人事業主として本格的に事業をしている	原則として毎年確定申告が必要	20万円ルールは基本的にあてにしない方が安全

大事なのは、「20万円以下だから自動的に全部OK」というルールではない、ということです。

所得税の確定申告が不要になっても、住民税の申告や、他の控除のための申告との兼ね合いは別で考える必要があります。

基礎控除48万円や103万円・130万円との違い

副業で確定申告しなくていい金額を調べていると、「48万円」「103万円」「130万円」など、いろいろな数字が出てきて混乱しがちです。

ざっくり役割だけ整理すると、次のようなイメージです。

ここで覚えておきたいのは、それぞれ「何のための金額か」が違うということです。

たとえば、「20万円を超えたら扶養から必ず外れる」「103万円を超えたら副業の確定申告が絶対必要」といった考え方は誤解につながります。

実際には、税金・扶養・社会保険でそれぞれ別のルールがあるので、「どの話の数字なのか」を意識しておくと混乱しにくくなります。

具体例でイメージする副業の金額ライン

言葉だけだとピンとこないので、簡単な例で「収入」と「所得」と確定申告の関係をイメージしてみましょう。

本業と副業の例	副業の収入	副業の経費	副業の所得	確定申告（所得税）のイメージ
会社員＋Webライター	30万円	10万円	20万円	条件を満たせば、所得税の確定申告が不要になる可能性もある
会社員＋せどり副業	80万円	50万円	30万円	原則として確定申告をした方がよい
会社員＋コンビニバイト	40万円	ほぼなし	40万円	本業とあわせて二つ以上の給与になるため、確定申告が必要になることが多い
パート主婦＋ハンドメイド販売	15万円	5万円	10万円	ほかの収入や扶養の状況によって判断が変わる

実際には、他の所得や控除との組み合わせで変わってくるので、あくまでイメージですが、「収入ではなく所得を見る」「給与の副業は20万円ルールの対象外になりやすい」という感覚だけ持っておくと役立ちます。

副業の確定申告をしないとどうなるリスクとバレる仕組み

税金のペナルティ（無申告加算税・延滞税など）

本来は副業の確定申告をする必要があるのに、申告していなかったことが税務署に把握されると、「本来払うべき税金」にくわえてペナルティがかかる場合があります。

代表的なものをざっくりまとめると次のとおりです。

税金の種類	どんなときにかかるか	ざっくりしたイメージ
無申告加算税	本来申告が必要なのに申告していなかった場合	本来の税額に対して一定割合が上乗せされる
延滞税	納付期限までに税金を納めなかった場合	遅れた期間に応じて利息のように増えていく
重加算税	意図的に隠していたなど、特に悪質と判断された場合	無申告加算税よりも重いペナルティになる

もちろん、初めてでよく分からずミスしてしまったケースや、うっかり忘れたケースもあり得ます。

ただ、「知らなかったから何もなし」というわけではないので、「もしかして申告が必要だったかも？」と思った時点で動き出した方が、結果的にダメージは小さくなりやすいです。

会社や税務署に副業が「バレる」主なルート

副業の確定申告をしないとどうなるかを考えたとき、多くの人がいちばん怖いのが「いつかバレるんじゃないか」という不安だと思います。

副業の存在や金額が税務署や会社に伝わるルートとしては、代表的にこんなものがあります。

「少額だから大丈夫」「個人口座だからバレない」といった噂を見かけることもありますが、税務署はさまざまな情報をまとめてチェックしています。

すぐに指摘が来ないとしても、あとからまとめて確認されることもあるので、「たぶんバレないだろう」という発想で放置するのはリスクが高いです。

「少額だからバレない」は危険な理由

副業の確定申告をしないとどうなるかを検索していると、「数万円なら問題ない」「ちょっとだけならバレない」といった書き込みも目に入ります。

たしかに、現実として税務署も人手は限られているので、一つひとつの少額取引まで全部チェックしているわけではありません。

それでも、「少額なら絶対にバレない」という考え方が危険な理由は次のとおりです。

• 数年分をまとめて見ると、トータルでは大きな金額になっていることがある
• 同じサービスやプラットフォームの利用者をまとめてチェックすることがある
• 一度指摘を受けると、過去数年分をさかのぼって確認されることが多い

「バレるかどうか」を気にしてビクビクするより、「もし見られても問題ない状態にしておく」方が、長い目で見るとかなりラクです。

副業の確定申告しなくていい金額に関するよくある勘違い

20万円以下でも住民税の申告が必要なケース

「副業の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告はいらない場合がある」と聞くと、「じゃあ何もしなくていいんだな」と思ってしまいがちです。

ただ、住民税は自治体が管理している税金で、所得税とはルールが少し違います。

ざっくりですが、次のような人は、副業の所得が20万円以下でも住民税の申告が必要になることがあります。

住民税の申告をしていないと、副業分の所得が反映されず、あとからまとめて請求が来ることもあります。

また、住民税の金額をきっかけに会社へ通知される金額に違和感が出て、副業が知られるきっかけになるケースもあるので、「所得税の申告は不要でも、住民税はどうか？」という視点は忘れないようにしたいところです。

医療費控除やふるさと納税をするときの注意

医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除などの手続きをするために確定申告をする場合、たとえ副業の所得が20万円以下でも、副業分を含めて申告する必要が出てくることがあります。

これは、確定申告をするなら、その年の所得をまとめて申告するのが基本になるからです。

たとえば、次のような人は注意が必要です。

• 副業の所得は20万円以下だが、医療費控除のために確定申告をしたい人
• ふるさと納税の寄付を、確定申告でまとめて申告したい人
• 住宅ローン控除の初年度で、確定申告が必要な人

「副業は少ないから申告しなくていいや」と思っていると、結果的に申告漏れ扱いになってしまうこともあります。

副業の金額だけでなく、「その年に別の理由で確定申告をする予定があるかどうか」も一緒に確認しておくと安心です。

扶養・社会保険と副業収入の関係（確定申告とは別の問題）

副業で確定申告しなくていい金額を調べている人の中には、「扶養から外れたくない」「社会保険の負担は増やしたくない」という理由で金額ラインを気にしている人も多いと思います。

ここでややこしいのが、扶養や社会保険のルールは、「確定申告が必要かどうか」とは別の仕組みで動いているという点です。

よく出てくる金額を、ざっくり整理すると次のようになります。

金額ライン	主に関係するもの	ざっくりした意味
20万円	副業の確定申告（所得税）の要否	特定の条件を満たす会社員が、副業所得の目安としてよく話題にするライン
48万円	所得税の基礎控除	ここまでは課税所得がゼロになるライン
103万円	税法上の扶養（配偶者控除など）	配偶者を扶養に入れられるかどうかの目安になる収入ライン
130万円	社会保険の扶養	健康保険の扶養にとどまれるかどうかでよく使われるライン

たとえば、配偶者がパートと副業をしている場合、合計の収入が103万円を超えると、扶養から外れる可能性が出てきますが、これは20万円ルールとは別の話です。

「確定申告がいらないから扶養も大丈夫」「扶養内だから確定申告もいらない」といった考え方は危険なので、不安な場合は税務署や年金事務所、健康保険組合などに個別に確認した方が確実です。

副業で確定申告しなかったときの対処法とラクに申告するコツ

いま申告していないかも…と思ったときの確認ステップ

副業の確定申告をしないとどうなるかを知って不安になったとしても、いきなり悲観する必要はありません。

まずは、次のようなステップで落ち着いて現状を整理してみてください。

ステップ	やること	ポイント
1	副業の種類を整理する	アルバイトなのか、業務委託なのか、物販なのかなど、大まかに区分する
2	過去数年分の副業収入と経費を洗い出す	通帳、クレジットカード明細、売上画面などをさかのぼって確認する
3	年ごとの所得（もうけ）をざっくり計算する	収入から経費を引いて、おおよその金額をメモに書き出す
4	その年に別の理由で確定申告をしていないか確認する	医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除の有無を思い出す
5	確定申告が必要だったかどうかの目安をつける	不安な場合は、税務署の相談窓口や税理士に持ち込んで確認する

ここまで整理すると、「そもそも申告は不要だった年が多そう」「この年だけは申告した方がよさそう」など、自分の状況がかなりクリアになります。

過去分をやり直すときの流れ（期限後申告・修正）

もし、「副業の確定申告をしていなかった年がありそうだ」と分かった場合でも、その時点からきちんと対応すれば、印象はだいぶ変わります。

過去分をやり直すときのおおまかな流れは次のとおりです。

自分だけで全部やるのが不安であれば、税理士に依頼するのも一つの手です。

費用はかかりますが、「どこまでさかのぼるべきか」「どこまで経費として認められそうか」などを一緒に整理してもらえるので、安心感はかなり違います。

日ごろからできる副業の税金対策（家計簿・会計ソフト）

副業で確定申告しなくていい金額に収まっているかどうかを判断するには、そもそも自分の数字を把握しておくことが大前提になります。

そのために、日ごろから次のような工夫をしておくと、後々かなりラクになります。

こうした習慣がついてくると、「今年の副業の所得はどれくらいになりそうか」「確定申告が必要になりそうか」が早めにわかるようになります。

結果として、税金の不安が減るだけでなく、必要な経費を漏れなく計上しやすくなるので、節税面でもメリットがあります。

よくある質問（副業の確定申告しないとどうなる？金額編）

Q1 副業が赤字なら確定申告しなくていいですか？

A 副業が赤字かどうかで、「やらなくていい」と一律に決められるわけではありません。

副業が事業として認められる場合は、本業の給与などと損益通算して、トータルの税金が少なくなる可能性があります。

一方、雑所得として扱われるような副業は、赤字を他の所得と通算できない場合もあります。

「赤字だから確定申告をしなくていい」と決めつけるのではなく、副業の内容や金額によって判断が変わるため、迷ったときは税務署や税理士に相談するのがおすすめです。

Q2 会社に副業がバレないように確定申告することはできますか？

A 副業の確定申告をしないとどうなるかを心配する一方で、「できれば会社には知られたくない」という気持ちもよく分かります。

住民税の納付方法を、自分で払う「普通徴収」にできる自治体もありますが、必ず認められるとは限りません。

また、就業規則で副業を禁止している会社もあります。

「絶対にバレない方法」があるわけではないので、就業規則を確認したうえで、必要なら人事や総務に相談するなど、慎重に判断した方が安全です。

Q3 副業でポイントやギフト券をもらった場合も確定申告が必要ですか？

A 副業で報酬としてポイントやギフト券を受け取るケースも増えていますが、内容によっては所得として扱われ、確定申告の対象になることがあります。

現金とほぼ同じように使えるポイントやギフト券であれば、実質的にはお金をもらったのと同じように見なされる場合があります。

扱いはケースバイケースなので、「これは申告が必要かな？」と感じたものは、金額や内容をメモしておき、税務署の相談窓口などで確認すると安心です。

まとめ 副業の確定申告しないとどうなるかを理解して行動しよう

最後にポイントを整理しておきます

今日からできる最初の一歩としては、まず次の三つを書き出してみてください。

• 自分の副業の内容（アルバイトなのか、業務委託なのかなど）
• 過去の副業収入と、ざっくりした経費の金額
• その年に医療費控除やふるさと納税などで確定申告をしていないかどうか

この三つが整理できるだけでも、「自分は副業の確定申告をすべきだったのか」「どこまでが確定申告しなくていい金額と言えそうか」が、かなり見えやすくなります。

そのうえで、不安な点があれば税務署の相談窓口や専門家を頼りつつ、少しずつ整えていきましょう。

なお、ここでお伝えした内容は、あくまで一般的な情報に基づいたものです。

最終的な判断は、ご自身の具体的な状況を踏まえて、税務署や税理士など専門家と相談したうえで行ってください。