「副業で農業って本当にできるのかな」「体力的にきつくないかな」と、モヤモヤしていませんか。
この記事では、会社員などが副業として農業を始めるときに知っておきたい基本やお金の話、本業との両立のコツを、できるだけ具体的にまとめました。
結論を一言でいうと、「いきなり大きく稼ごうとせず、生活を少し豊かにするくらいの規模で副業として農業を始めるのが、一番続けやすい」です。
副業で農業は現実的?副業としての結論を先にお伝えします

ここでは、副業として農業にチャレンジするのがどれくらい現実的なのか、どんな人に向いているのかを整理します。理想だけでなく、現実面も踏まえたうえで、自分に合うスタートラインを考えていきましょう。
副業としての農業のイメージと、向いている人のタイプ
副業で農業をしている人は、「収入アップ」だけでなく「健康づくり」や「気分転換」など、暮らし全体のバランスを良くしたいという人が多いです。特に、次のようなタイプの人は相性が良いと感じます。
| 向いている人のタイプ | 副業として農業と相性が良い理由 |
|---|---|
| リモートワークやフレックス勤務の会社員 | 平日に少し畑へ行く時間を作りやすく、天候や作業のピークに合わせやすいから |
| 車やバイクの運転に慣れている人 | 畑が郊外になることが多く、移動の自由度が高いほど選べる場所が増えるから |
| 体を動かすのが嫌いではない人 | 土づくりや収穫作業など、軽い肉体労働が続くため |
| コツコツ続けるのが得意な人 | 種まきから収穫まで時間がかかり、結果が出るまで継続が必要だから |
逆に「短期間で大きく稼ぎたい」「平日はほとんど畑に行けない」という場合は、かなり工夫が必要になります。自分の働き方や性格とどのくらい相性が良さそうか、一度イメージしてみてください。
副業としての農業で意識したい基本スタンス
副業で農業を長く続けている人は、だいたい次のようなスタンスで取り組んでいます。
- 最初から大きな投資をせず、小さく始めて少しずつ規模を広げる
- 「野菜代が浮けば十分」など、無理のない目標から始める
- 本業の繁忙期には畑の作業をセーブして、体調を優先する
- 家族の理解を得て、可能なら手伝ってもらえる体制をつくる
副業で農業を始める前に知っておきたい基本ルール

ここでは、副業として農業を始める前に知っておきたい「農業の立ち位置」と「働き方ごとのルール」を簡単に整理します。曖昧なまま走り出すと、会社や役所とのトラブルにつながることもあるので注意が必要です。
副業としての農業と兼業農家の違いをざっくり整理
日常的に「副業で農業をしている」という場合は、多くが「本業は会社員などの給料や自営業の売上で、農業は収入源の一部」という状態を指します。本業が別にあり、小〜中規模で農業もしているイメージで考えると分かりやすいです。
働き方別・副業として農業をするときの注意点
自分の働き方によって、副業として農業をする際の注意点は少しずつ変わります。ざっくりとした目安は次の通りです。
- 一般の会社員:会社の就業規則を必ず確認し、副業禁止かどうか、副業申請が必要かをチェックする
- リモートワークやフレックス勤務:副業としての農業と相性は良いが、自由時間をすべて畑に使って本業のパフォーマンスを落とさないよう注意する
- 自営業・フリーランス:時間の調整はしやすいが、農業に時間をかけ過ぎて本業の売上が落ちないようバランスを見る
- シフト制の仕事:繁忙期と農作業のピークが重なるとかなり疲れるので、「この時期は畑の作業を控えめにする」と決めておく
公務員が副業として農業をするときの考え方
公務員の方が副業として農業をする場合は、一般の会社員以上にルールの確認が大切になります。家庭菜園レベルの自家消費なら問題にならないこともありますが、継続的に販売して収入を得る規模になると、副業として扱われる可能性が高いからです。
「このくらいなら大丈夫だろう」と自己判断するのではなく、人事担当や上司に早めに相談し、必要な手続きや許可をきちんと取ったうえで進めることをおすすめします。
副業として農業を始める5つの方法

ここからは、副業として農業を始める具体的な入り口を5つ紹介します。それぞれ初期費用や必要な時間、収入の出方が違うので、自分の生活に合うものを選んでみてください。
週末農業で小さくスタートする
もっとも王道なのが、「平日は本業、休日に農作業」という週末農業です。市民農園やシェア畑を借りて、まずは自家消費用+余った分を少し販売するところから始める人が多いです。
| 始め方のパターン | 初期費用の目安 | 向いている人 | 収入やメリットのイメージ |
|---|---|---|---|
| 週末農業(市民農園など) | 年間の区画料金+種や肥料代で数万円程度 | まずは小さく始めたい会社員 | 野菜代が浮き、うまくいけば月数千〜数万円のプラス |
| 貸し農園・シェア畑 | 道具込みプランなら年間数万円〜 | 道具を一からそろえたくない初心者 | 基本は自家消費が中心で、収入は小さめ |
| 親や知人の畑を借りる | 規模によって数万円〜数十万円 | ある程度の広さでしっかり栽培したい人 | 作物次第で、月数万円以上の利益も狙える |
| 農業バイト・マッチングサービス | 初期費用ほぼ不要 | とにかく経験を積みたい人 | 収入は時給制が中心で、将来の独立準備にもなる |
| 庭やベランダ菜園 | 数千円〜のプランターや資材費 | 畑を借りる前に試してみたい人 | 野菜代の節約が中心で、販売はおまけ程度 |
週末農業は「休みの日=農作業の日」になりやすいので、体力的な負担も覚悟が必要です。その一方で、季節ごとの作業や収穫の喜びを実感しやすく、モチベーションを保ちやすいスタイルでもあります。
市民農園やシェア畑を活用する
市民農園やシェア畑は、区画を借りて気軽に始められる副業としての農業の入り口です。場所によっては道具や水場、アドバイザーが用意されていることもあり、「土いじりは初めて」という人でもスタートしやすい仕組みになっています。
多くの市民農園は「レクリエーション目的」が前提で、営利を目的とした栽培には向いていません。規約で販売を禁止しているところもあるため、「どこまでならOKなのか」は必ず確認しておきましょう。
親の農地や知人の畑を活用する
すでに親が農家だったり、知人に畑を持っている人がいる場合、その一部を借りて副業として農業を始めるケースもあります。農機具や資材がそろっていることも多く、最初から実践的な規模で経験を積める点が大きなメリットです。
一方で、農地の名義や農地法のルールが絡むこともあります。正式に農地を借りる場合は、市町村の窓口や農業委員会などに相談しながら進めると安心です。家族間の口約束だけで話を進めると、後で思わぬトラブルになる可能性もあるので注意してください。
農業バイト・マッチングサービスで経験を積む
「いきなり自分の畑を持つのは不安」という場合は、農業バイトやマッチングサービスを使って、既にある農場を手伝うところから始めるのもおすすめです。求人サイトや農業系のマッチングサービスでは、副業や短期バイトとして働ける案件も見つかります。
現場で作業の流れや栽培のコツを直接学べるのが大きなメリットです。土づくりや苗の扱い、収穫や出荷の段取りなどを、実際の仕事の中でつかんでいけます。
庭やベランダ菜園から始めてみる
「畑を借りるのはハードルが高い」と感じる場合は、まず自宅の庭やベランダでプランター菜園から始めるのも立派な一歩です。葉物野菜やミニトマト、ハーブ類などはプランターでも十分育ってくれます。
水やりのタイミングや肥料の加減、虫が出てきたときの対処など、基本を自宅で練習しておくと、その後に本格的な副業としての農業にステップアップするときもスムーズです。
副業で農業をするメリットとデメリットを整理しよう

ここでは、副業として農業に取り組むときの良い面と大変な面をコンパクトに整理します。
副業として農業をする主なメリット
副業として農業をする主なメリットは、次のようなものがあります。
- 収穫したての野菜を食べられ、食費の節約にもつながる
- 本業とは別に、数千円〜数万円のプラス収入を狙える
- 外で体を動かすことで、運動不足解消やストレス発散になる
- 地域の農家さんや直売所のスタッフなど、地元とのつながりが広がる
副業としての農業のデメリットとリスク
一方で、副業として農業をするからこそ気をつけたいデメリットやリスクもあります。
- 天候や病害虫によって、頑張っても収量が大きく落ちる年がある
- 種や肥料、資材費がかさみ、最初は赤字になることもある
- 夏場の炎天下作業など、体力的な負担が大きくなる
- 販売先が決まっていないと、せっかく収穫した作物が余ってしまう
副業で農業はいくら稼げる?収入の目安と考え方

ここでは、副業として農業をしたときにどれくらいの収入をイメージしておくと現実的かを整理します。「生活費の一部がまかなえれば十分」と考えておくと、プレッシャーが少なく続けやすいです。
副業としての農業で期待できる収入イメージ
実際に副業で農業をしている人の話を聞くと、規模によって収入のイメージはかなり変わりますが、おおよそ次のようなパターンが多いです。
- 市民農園レベル:年間数万円の野菜代節約+うまくいけばちょっとしたお小遣い
- 10アール前後の小さめの畑:作物と販売先次第で、年間数十万円の売上が見込めることもある
- もう少し大きな規模:本業とは別に、家計の一部を支える副収入になるケースもある
税金・確定申告で最低限おさえておきたいこと
副業として農業を行い収入が出ると、税金や確定申告の問題も出てきます。一般的には、副業の所得が一定額を超えると確定申告が必要になるとされています。
売上や経費は普段からノートやアプリでメモしておくと、あとで慌てずに済みます。規模が大きくなってきたら、青色申告や農業共済なども検討すると、節税やリスク管理の面で安心感が増します。
副業での農業に向く作物と販売方法の考え方

ここでは、副業として農業をするときの作物の選び方と、販売先の考え方を整理します。
副業としての農業に向く作物の考え方
副業として扱う作物を選ぶときは、「価格」だけでなく、次のポイントを合わせて考えるのがおすすめです。
- 収穫期の幅が広く、多少収穫が遅れても品質が落ちにくいか
- 平日の管理がどれくらい必要か(毎日収穫が必要な品目は負担が大きい)
- 病害虫に強く、初心者でも失敗しにくいか
- 小さな面積でも収量が期待できるか
初心者におすすめの作物と販売先の例
副業として農業を始めるときに取り組みやすい作物と、主な販売先の例をまとめました。あくまで一例ですが、作物選びのヒントとして参考にしてみてください。
| 作物のタイプ | 具体例 | 特徴 | 主な販売先の例 |
|---|---|---|---|
| 根菜類 | じゃがいも・さつまいも・にんじん | 比較的管理が楽で収穫期の幅も広い | 直売所、知人へのまとめ売り、地域のマルシェなど |
| 夏野菜 | ミニトマト・ナス・ピーマン・オクラ | 面積が小さくても収量が多く、家庭菜園からステップアップしやすい | 直売所、飲食店への少量出荷、家庭用セット販売 |
| 香味・葉物野菜 | サラダミックス・ルッコラ・ハーブ類 | 小ロットでも需要があり、飲食店向けの差別化がしやすい | カフェやレストラン、料理教室への直販 |
| キノコ・山菜系 | シイタケ・ミョウガ・タラの芽など | 気候に合えば高単価を狙いやすく、省スペース栽培もしやすい | 直売所、高級スーパー、飲食店向けの少量出荷 |
販売ルートとしては、直売所や農協、飲食店への直接販売、ネットショップやフリマアプリなどの方法があります。自分の生活リズムで無理なく届けられる範囲から、少しずつ広げていくのがおすすめです。
副業の農業と本業を両立させるスケジュール例

ここでは、副業として農業をしながら本業も続けるためのイメージを、1週間のスケジュール例で紹介します。
会社員が副業として農業をする1週間スケジュール例
フルタイム勤務の会社員が、通勤時間30〜40分圏内に小さな畑を借りているケースを想定した、シンプルなスケジュール例です。
| 曜日 | 朝 | 仕事後〜夜 |
|---|---|---|
| 月 | 見回り・水やり(15分) | なし(残業日として農作業は入れない) |
| 火 | なし | 畑で1時間ほど草取りや手入れ |
| 水 | なし | 完全オフ(家族時間や休養) |
| 木 | 見回り・水やり(15分) | なし |
| 金 | なし | なし |
| 土 | 午前中に収穫・作業(2〜3時間) | 午後に出荷・直売所への納品 |
| 日 | 必要なら軽い作業(1〜2時間) | 家族で畑に行くなどゆるく関わる |
副業として農業を続けるためのコツ
長く続けている人の話から見えてくる、副業として農業を継続させるためのポイントです。
- 最初から畑を広くしすぎない(片付けきれない面積は持たない)
- 栽培する品目を増やしすぎない(最初は2〜3品目に絞る)
- 家族に早めに共有し、応援してもらえる空気をつくる
- うまくいかない年があっても、経験として振り返る
副業での農業のよくある質問(FAQ)

ここでは、副業として農業を始めるときによく聞かれる質問を、Q&A形式でまとめました。
Q1. 副業で農業を始めて、将来は本格的に就農することはできますか?
A. 可能です。まずは週末農業や小さな区画から始めて栽培や販売の経験を積み、収入の手応えと家族の理解が得られてきた段階で、少しずつ規模拡大や独立を検討するとリスクを抑えやすくなります。
Q2. 都市部に住んでいますが、副業として農業は可能でしょうか?
A. 都市部在住でも、市民農園やシェア畑、郊外の貸し農園を使えば副業として農業は十分可能です。ただし移動時間が長いと続きにくいので、片道何分までなら通えるかを決め、近場の農園や体験イベントから探してみると安心です。
Q3. 副業としての農業の初期費用はどれくらい見ておけばいいですか?
A. 市民農園やシェア畑から始める場合は、区画の利用料と種・苗・肥料を合わせて、年間数万円ほどを目安にするとイメージしやすいです。親の畑を活用したり農業バイトから始めれば、初期費用をかなり抑えられます。
副業で農業をするまとめと今日からできる一歩
ここまでのポイントを簡単にまとめます
- 副業で農業をするなら、「本業+生活を少し豊かにする収入源」というイメージで考えると続けやすい
- 会社員や公務員は、副業規定や兼業許可などのルールを必ず確認する
- 始め方は週末農業や市民農園、農業バイトなど、自分の生活に合う入り口を選ぶ
- 作物選びは「管理のしやすさ」と「販売先との相性」をセットで考える
- スケジュールは「平日少し+週末集中」で、休む日も含めて組み立てる
今日からできる最初の一歩としては、「自分の生活リズムで無理なく通える範囲に、どんな農園や直売所があるか」を調べてみることです。地図アプリや自治体のサイトで情報を眺めてみるだけでも、「このエリアなら副業としての農業が現実的かもしれない」というイメージが一気に具体的になっていきます。



