うちの会社は副業禁止って書いてあるけど、これって本当に全部守らないとダメなのかな…と不安になっていませんか。お給料だけでは心細いけれど、「違法なのかも」「バレたらクビかも」とモヤモヤして、なかなか一歩を踏み出せない人は多いと思います。
副業禁止は違法なのか?結論と全体像

この章では、「副業禁止は違法なのか?」という一番モヤモヤしやすいポイントについて、全体像を先に整理しておきます。難しい法律用語はできるだけ避けながら、ざっくりとしたイメージがつかめるようにお話しします。
副業禁止=すべて違法ではないが、一律禁止は問題になりやすい
まず押さえておきたいのは、「就業規則に副業禁止と書いてある=その会社はすぐに違法」という話ではない、という点です。日本では、働く人には職業を選ぶ自由がありますが、同時に「会社の看板のもとで働く以上、ある程度の社内ルールには従ってね」という考え方もあります。このふたつをどうバランスさせるか、というところで線引きが決まってきます。
イメージがしやすいように、ざっくりと整理すると次のような感じです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法律上の考え方 | 働く人の自由が基本。ただし、会社に大きな悪影響が出る副業であれば、一定の制限は認められやすい。 |
| 就業規則の位置づけ | 会社と従業員が守るルールブック。合理的な理由があれば、副業に関する制限を書き込むこともできる。 |
| 一律禁止の扱い | どんな副業もすべてダメとするルールは、社員の自由を広く奪っており、内容次第では行き過ぎと判断される可能性がある。 |
| 問題になりやすい例 | 会社にほとんど影響しないような、休日数時間の仕事まで丸ごと禁止しているようなケース。 |
ポイントは、「会社が自分の正当な利益を守るために必要な範囲のルールかどうか」です。例えば、勤務時間中の副業や、明らかに競合する仕事を禁止するのは、会社側の事情を考えればそれなりに理由があります。一方で、会社の信用や安全にほぼ影響がなさそうな副業までまとめて禁止してしまうと、「従業員の自由を奪い過ぎているのではないか」と見られやすくなります。
法律と就業規則の関係をざっくり整理
次に、「法律」「就業規則」「労働契約」の関係を、簡単に整理しておきます。ここがなんとなくでも分かっていると、「どこまでが会社の言い分で、どこからが自分の権利なのか」が見えやすくなります。
ざっくりと分けると、次の3つがあります。
- 法律…国が決めたルール。会社も従業員も、まずはこれを守る必要がある。
- 就業規則…それぞれの会社が決める社内ルール。勤務時間や休暇、副業の扱いなどもここで定める。
- 労働契約…あなた個人と会社が交わしている約束ごと。給料や働く時間、勤務地などが含まれる。
就業規則は、多くの場合「労働契約の一部」として扱われます。ただし、就業規則にどんな内容を書いてもよいわけではなく、法律に反していないか、社員にとってあまりにも一方的ではないかなどがチェックされます。副業の禁止や制限についても同じで、裁判例や行政のガイドラインでは、「勤務時間外の行動は基本的には個人の自由であり、そこに制限をかけるなら、会社の事情を踏まえたそれなりの理由が必要」といった考え方がベースになっています。
このあたりを知っておくと、「会社が絶対に正しい」か「会社が全部おかしい」の二択ではなく、「どこまでなら会社のルールとして妥当と言えるか」を落ち着いて考えやすくなります。
会社が副業禁止にするのはなぜ?企業側の本音

この章では、「会社はなぜここまで副業を嫌がるのか?」という、もう一つのモヤモヤに向き合っていきます。実際に人事の人と話していると、社員側からは見えにくい事情もけっこうあると感じます。
本業への悪影響を心配している
一番わかりやすい理由は、「副業のせいで本業のパフォーマンスが落ちるのは困る」というものです。会社から見ると、次のようなことが現実的な心配ごとになります。
- 副業のシフトがきつくて、本業での遅刻や欠勤が増える。
- 寝不足で集中力が落ち、ミスや事故が増える。
- 副業を優先して、本業の残業や急な仕事の依頼を断られる。
こうした状況が続くと、「会社から給料をもらっているのに、本業にきちんと専念していないのでは?」と判断され、職務専念義務に反していると見られることもあります。特にシフト制の仕事や、お客様の前に立つ仕事では、一人のパフォーマンス低下が周り全体に影響しやすいため、余計に敏感になる会社も多いです。
情報漏えい・競業・ブランド毀損のリスク
次に大きいのが、「情報が外に漏れるのが怖い」「会社のブランドが傷つくのが怖い」という理由です。たとえば、本業と同じ業界で副業をした場合、本業の会社のノウハウや顧客情報が、副業先に流れてしまうおそれがあります。悪気がなくても、普段の雑談の中で「うちではこういうやり方なんですよ」と話してしまうことは、十分あり得ます。
さらに、会社のメールアドレスや名刺の肩書きを使って個人的な仕事をすると、相手から見ると「その会社として動いている」と誤解されることもあります。もしそこでトラブルが起きれば、本業の会社の信用がまとめて傷つきかねません。また、マルチ商法に近いビジネスや、反社会的な仕事に関わってしまうと、「あの会社の社員がああいうことをしていたらしい」という噂だけでも、致命的なイメージダウンになる可能性があります。
会社側からすると、情報流出やブランド毀損は、一度起きてしまうと取り返しがつきにくいリスクです。そのため、「危ない芽は早い段階でつんでおきたい」と考える企業が、副業禁止に踏み切っているケースも少なくありません。
労働時間管理と健康リスクの問題
もう一つ、現場の人事担当者からよく聞くのが、「労働時間と健康の管理が難しくなる」という理由です。社員が別の会社で雇われて働く形の副業をする場合、本業と副業の労働時間を足したときに、働き過ぎになっていないかが問題になります。
法律上、会社には「従業員を危険なほど長時間働かせないように配慮する義務」があります。ところが、社員がどこでどれくらい働いているのか、すべてを正確に把握するのは現実的にはかなり難しいですよね。それでもし、長時間労働がもとで体調を崩したり、事故が起きてしまった場合、「本業の会社は本当に何も知らなかったのか」「もっと注意できたのではないか」と責任を問われる可能性も出てきます。
そうなると、「そこまで管理する余裕はないし、リスクだけ増えてしまう」と感じる企業も多く、結果的に副業そのものを禁止するほうが安全だと判断してしまうわけです。社員からすると「自分の時間なのに」と思うところですが、企業側にも企業側の怖さがある、というイメージを持っておくと、感情的なぶつかり合いを避けやすくなります。
副業禁止でも違法になりやすいケースとOKライン

この章では、「副業禁止は違法と判断されやすいのはどんなケースか」「逆に、会社側が制限しやすいラインはどこか」を整理していきます。ここを知っておくと、自分の置かれている状況を少し冷静に見られるようになります。
勤務時間外の副業を一律禁止するルール
行政のガイドラインや過去の裁判例では、ざっくりいうと「勤務時間外の行動は、原則として本人の自由」という考え方がベースになっています。つまり、仕事が終わったあとや休日に何をするかは、本来はその人次第だということです。そのため、勤務時間外まで含めて「どんな副業も絶対にやってはいけない」と一律に禁止するルールは、かなり強い制限になります。
イメージしやすいように、主なパターンと、その評価のされやすさを表にまとめてみます。
| パターン | 副業ルールのイメージ | 問題になりやすさ |
|---|---|---|
| 勤務時間中の副業禁止 | 本業の勤務時間中に、別の仕事や自分のビジネスをしてはいけないというルール。 | 勤務中は本業に集中すべきと考えられるため、正当な制限と見なされやすい。 |
| 同業他社での副業禁止 | 競合する企業や、利害がぶつかる取引先での副業を禁止するルール。 | 情報漏えいや利益相反を防ぐ観点から、一定の範囲なら認められやすい。 |
| 勤務時間外を含む一律禁止 | 就業時間外も含めて、どんな副業も全部ダメとするルール。 | 社員の自由を大きく制限しており、内容次第では行き過ぎと判断される可能性が高い。 |
大事なのは、「会社の利益を守るうえで、本当にそのレベルの制限が必要かどうか」という点です。同業他社での副業禁止などは、想像しやすい「会社の不利益」と結びつきますが、まったく関係ない分野の軽いアルバイトまでわざわざ禁止する必要があるのか、という話になると、話は変わってきます。
懲戒処分や解雇が認められやすいパターン
一方で、「これはさすがに会社側が厳しく出ても仕方ないだろう」とされやすい副業もあります。たとえば、次のようなケースです。
- 本業の勤務時間中に、副業の仕事をしていた。
- 副業が原因で、遅刻・早退・欠勤が明らかに増えている。
- 副業を通じて会社の機密情報が漏れ、大きな損害が出た。
- 同業他社で働き、明らかに競合する営業活動などを行っている。
- 会社の名誉を大きく傷つけるような仕事(違法なビジネスなど)に関わっている。
こうした場合は、「副業をした」という事実そのものよりも、「副業によってどんな悪影響が出たのか」が重く見られます。就業規則に懲戒のルールがあり、その内容に当てはまると判断された場合、減給や出勤停止、場合によっては解雇が認められる可能性も出てきます。
逆にいえば、「会社にほとんど影響が出ていない」「本業の勤務態度にも問題がない」といった状況で、いきなり厳しい処分を受けることは多くありません。ただ、どこまでを「影響がない」と見るかは会社によって温度差があるので、リスクをゼロとは言い切れません。
公務員・金融など特に制限が強いケース
民間企業の会社員と比べて、公務員や一部の業界では、副業についてかなり厳しいルールがあります。公務員の場合は、法律で兼業が原則禁止されており、許可なく別の仕事をすることは基本的に認められていません。理由は、公平・中立であるべき立場が損なわれたり、特定の利害関係者に肩入れしてしまう危険があるからです。
また、金融機関やインフラ関連企業、機密性の高いデータを扱うIT企業などでは、情報漏えいが起きたときの影響が非常に大きいため、副業に対して特に慎重な姿勢を取っていることが多いです。現場レベルでは黙認されている場合もありますが、ルールの上ではかなり厳格に禁止されていることも少なくありません。
このように、「職種や業界によっても、副業への厳しさには差がある」という前提を持っておくと、自分の置かれた環境を少し客観的に見やすくなります。
副業禁止の会社で副業したい人が守るべきポイント

ここからは、「それでも副業をして収入を増やしたい」「スキルを広げたい」という人が、現実的にどんなポイントに気をつければいいかをまとめていきます。いきなり白黒をつけようとせず、できるところから整理していきましょう。
就業規則のチェックと人事への相談の仕方
まず最初の一歩は、感情的になる前に「自分の会社の就業規則をちゃんと読む」ことです。ここを飛ばして「うちの会社は副業禁止だから最悪だ」と決めつけてしまうと、本当はできる選択肢まで見えなくなってしまいます。
副業に関する就業規則は、大きく分けると次のようなパターンが多いです。
| 就業規則のパターン | 内容のイメージ | 対応のポイント |
|---|---|---|
| 完全禁止型 | 「許可なく他の会社で働いてはならない」「一切の兼業を禁止する」など、かなり強い表現がある。 | 副業のハードルは高め。人事に例外的に認められるケースがあるかどうか、慎重に確認したい。 |
| 許可制型 | 「会社の承認を得た場合は副業を認める」といった文言がある。 | 申請書の形式や審査の基準を確認し、本業への影響が少ないことを具体的に説明できるよう準備する。 |
| 届出制・原則OK型 | 「事前に届出を行うことを条件に、副業を認める」といった形。 | 届出の手順を守りつつ、労働時間や健康面にも配慮した計画を立てる。 |
就業規則は、社内ポータルや総務・人事の窓口で見せてもらえることが多いです。わからない点があれば、「副業そのものがダメなのか」「どういう副業なら認められる余地があるのか」など、できるだけ具体的に質問してみてください。
人事や上司に相談するときは、「お金が足りないんです」といった感情だけでぶつかるのではなく、次のようなポイントをセットで伝えると印象が良くなります。
- なぜ副業をしたいのか(生活費の補填だけでなく、スキルアップなども含めて)。
- どんな内容の仕事を、どのくらいの時間でやるつもりなのか。
- 本業への支障が出ないよう、睡眠時間やシフトをどう確保するつもりなのか。
ここまで考えていると、「とりあえずお金のために何でもやりたい」という印象ではなく、「本業も大事にしながら、長く働ける環境を作ろうとしている人」と見てもらいやすくなります。
会社にバレにくい・揉めにくい副業の考え方
正直なところ、「できれば会社には知られたくない」という気持ちもあると思います。ただ、バレない方法だけに意識が向くと、どうしても無理な働き方になりやすく、結果的に本業にも悪影響が出てしまいかねません。
私としては、「バレないようにする」よりも「もし知られても、そこまで大きな問題になりにくい副業を選ぶ」という考え方のほうが安全だと思っています。たとえば、次のようなポイントを意識してみてください。
- 本業とまったく同じ業界・同じ顧客層を狙う副業は避ける。
- 本業の勤務時間の直前・直後にギチギチにシフトを入れない。
- 会社のパソコンやメールアドレス、名刺などは副業に絶対に使わない。
- 顔出しや本名での発信は、内容によっては会社のイメージにもつながるので慎重に判断する。
また、住民税の通知や、同僚からの噂などを通じて、副業が会社に伝わることもあります。そうなったときに、「なぜその副業を選んだのか」「本業への影響をどう考えていたのか」を自分でもきちんと説明できる状態にしておくと、話し合いになったときにかなり変わってきます。
それでもダメなら?転職・独立という選択肢
中には、「どう説明しても副業は一切認めない」というスタンスの会社もあります。その場合は、「この会社でずっと働き続けたいかどうか」と、「副業や複数の収入源を持ちたい気持ち」の優先順位を、一度じっくり考えてみるタイミングかもしれません。
最近は、副業に前向きな会社や、最初から兼業前提の求人も増えています。今の会社で我慢し続けるだけが選択肢ではなく、環境を変えることで、ルールと自分の理想の働き方のギャップを埋める人も少なくありません。また、いきなり独立するわけではなくても、「いずれフリーランスや起業も視野に入れて、今から準備だけしておく」という考え方もあります。
もちろん、転職や独立にはそれぞれリスクもあります。ただ、「副業禁止の会社にいる自分には何も選べない」と思い込んでしまうのではなく、「今の会社でできること」「環境を変えたら見えてくる選択肢」を両方並べて考えてみると、少し気持ちが楽になるはずです。
副業禁止でもできる?副収入の選択肢いろいろ

ここからは、「副業禁止の会社にいても、どんな形なら収入を増やせる可能性があるのか」を、具体的なイメージが持てるように整理していきます。いきなり大きく稼ごうとするのではなく、自分の生活や体力に合う範囲から考えてみてください。
労務提供を伴わない所得という選択肢
副業と聞くと、どうしても「もう一つアルバイトを掛け持ちする」といったイメージになりがちですが、収入を増やす方法はそれだけではありません。自分の時間を直接切り売りしない形で、お金を増やしていくやり方もあります。
ざっくり分けると、次のようなパターンがあります。
| 種類 | ざっくりイメージ | 副業ルールとの相性 |
|---|---|---|
| 労働収入タイプ | アルバイトや業務委託、フリーランス案件など、自分の時間を使って働く形。 | 労働時間が増えるので、本業への影響や就業規則の内容を特に注意して確認する必要がある。 |
| 資産収入タイプ | 株や投資信託の配当、不動産の家賃、事業への出資など、お金や資産に働いてもらう形。 | 就業規則で特に制限していない会社も多いが、借金を抱えるような無理な投資は本業にも悪影響が出やすい。 |
| ポイント・お小遣いタイプ | ポイントサイト、アンケート回答、不要品のフリマ出品など、すき間時間でできるもの。 | 労働時間の増加が小さく、副業ルールの対象として問題視されにくいことが多い。 |
もちろん、どの方法を選んでも、「睡眠時間を削りすぎない」「生活に支障が出ない範囲で行う」という前提は大切です。そのうえで、「副業禁止だから何もできない」と決めつけず、自分のリスク許容度や興味に合わせて、少しずつ試していくのがおすすめです。
本業スキルを活かす副業のパターン
もし自分の会社が、一定の条件付きで副業を認めてくれるタイプなら、本業のスキルを活かせる副業を選ぶのも一つの手です。私の周りでも、スキルを活かした副業から本業のキャリアが広がっていった人を何人も見てきました。
例えば、こんなイメージです。
- 事務職の人が、クラウドソーシングで資料作成やデータ入力の案件を受ける。
- エンジニアが、休日に個人開発のアプリを作ったり、スポット案件を受ける。
- 営業職の人が、営業ノウハウをブログや動画で発信し、広告収入や教材販売につなげる。
こうした副業は、本業での評価にもプラスになりやすく、「勉強熱心な人」として見てもらえる可能性もあります。ただし、同業他社の売上に直接貢献するような仕事をすると、競業や情報流出の問題に触れやすくなるので、内容や関わり方は慎重に選びましょう。
家族との時間・健康とのバランスも忘れずに
副業について考え始めると、どうしても「いくら稼げるか」に意識が向きがちですが、実際にやってみると、思っている以上に体力とメンタルを使います。特に、子どもがいる家庭や、家族の介護をしている人は、使える時間やエネルギーに限りがあります。
副業を検討するときは、次のような点も一緒に考えてみてください。
- 家族との時間を、どこまでなら削っても自分が納得できるか。
- 睡眠時間がどのくらい減ると、翌日の本業に響き始めるか。
- いざというときに休める余白が、週にどれくらい残っているか。
短期間だけ無理をするならまだしも、数年単位で続けることを考えると、オーバーワークは後から必ずツケが回ってきます。副業を始めたばかりのころは「もう少しいける」と感じやすいですが、一度立ち止まって、「半年後や一年後の自分がどうなっていそうか」をイメージしてみてください。長く続けられるペースを見つけることが、結果的に一番の近道です。
よくある質問:副業禁止は違法?なぜダメなの?

最後に、「副業禁止は違法なのか」「なぜそこまでダメと言われるのか」というテーマで、よくある疑問にQ&A形式で答えていきます。気になるところだけ拾い読みしてもらっても大丈夫です。
Q1. 副業禁止は憲法違反って聞いたけど、本当ですか?
A. 働く人には職業を選ぶ自由があり、その意味では、勤務時間外にどんな仕事をするかは基本的にはあなたの自由です。なので、「どんな場合でも一律に副業を禁止する」という非常に強いルールは、人によっては憲法との関係で問題だと感じるかもしれません。
ただ一方で、会社にも「自分たちの事業やお客様を守る責任」があります。例えば、同業他社で機密情報が漏れそうな仕事をされたり、健康を損なうほど長時間働かれたりすると、会社としても困ります。そのため、「会社の正当な利益を守るために必要な範囲であれば、ある程度の副業の制限は認められる」という考え方も存在します。
まとめると、「副業禁止は全部憲法違反だ」と言い切ることも、「会社が決めた以上、どんな禁止でも正しい」と言い切ることもできず、具体的なルールや事情を見ながら判断される、というのが実際のところです。
Q2. 副業禁止の会社で副業してバレたら、必ずクビになりますか?
A. 「副業をした=必ず即解雇」というケースは、そこまで多くありません。多くの場合は、まず注意や指導があり、それでも改善しなかったり、会社に大きな損害が出た場合に、懲戒処分が検討されます。
特に、本業の勤務態度にほとんど問題がなく、情報漏えいなどの重大なトラブルも起きていない場合、いきなり解雇まで進む可能性は高くないと考えられます。ただ、「会社がどの程度までを許容範囲と見るか」は組織によって違うので、「これなら絶対大丈夫」と断言できるラインはありません。
大事なのは、「会社にバレないようにすること」だけではなく、「バレたときに自分でも納得できる説明ができるかどうか」です。副業の内容や時間、本業への影響について、自分なりの基準を持っておくことが、結果的に自分を守ることにつながります。
Q3. 副業禁止だけど、投資やポイント活動もダメなんでしょうか?
A. 多くの会社では、副業のルールは「別の会社で働く」「報酬を得る仕事をする」といったケースを想定していることが多く、投資やポイント活動について細かく書いていないこともよくあります。実際に、株式や投資信託、不動産などの運用をしている会社員も多いです。
とはいえ、借金をしてまで投資を行い、生活が苦しくなって本業に支障が出てしまうようだと、本末転倒です。また、ポイントサイトやフリマ出品なども、あまりにのめり込みすぎると時間を取られ、結果的に睡眠不足になってしまう可能性もあります。
心配であれば、就業規則を確認したうえで、人事に「投資やポイント活動の扱いはどうなっていますか?」とストレートに聞いてみるのも一つです。きちんと確認しておくことで、「あとから責められるかも」という不安を減らせます。
まとめ:副業禁止が違法かどうかに振り回されすぎない
ここまでの内容を簡単に整理します
- 副業禁止というルールがあること自体は、すぐに違法とはいえませんが、勤務時間外まで一律に縛るような強い制限には問題が出る可能性もあります。
- 会社が副業を禁止したがる背景には、本業への悪影響、情報漏えい・競業、健康・安全など、いくつかのリスクへの不安があることも理解しておくと、対話がしやすくなります。
- 「自分の会社の就業規則がどのタイプなのか」「どんな副業なら会社と大きくぶつかりにくいか」を冷静に整理することが、最初の一歩です。
- 副業禁止だからといって何もできないわけではなく、投資やポイント活動など、比較的ルールに触れにくい副収入の作り方も検討できます。
- どうしても副業を認めてもらえない場合は、転職や独立も含め、「自分に合う働き方ができる環境に移る」という選択肢も視野に入れてみてください。
そして、今日からできる一番シンプルな行動は、「自分の会社の就業規則をきちんと読むこと」です。副業に関する項目をチェックし、「完全禁止なのか」「許可制なのか」「届出で済むのか」をまず確認してみてください。それだけでも、「自分は今どの位置に立っているのか」がかなり見えやすくなります。
そのうえで、「自分はなぜ副業をしたいのか」「どんな形なら本業や家族との時間と両立できそうか」をノートなどに書き出してみるのがおすすめです。感情だけで「禁止はおかしい」と反発するのではなく、情報と自分の価値観の両方を整理しながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。



